私は平成14年から介護職として働き始めました。いろいろな経験をさせて頂いた中で、特に心に残ったA.K様についてお話をします。

A.K様は、2年前には「私はもうダメだ」と常に死を口にされていました。食事は起きる事なく介助で召し上がり、体調が悪くて入浴もできない状態が続いていました。肺に水が溜まり、酸素を使用するようになり、医師の診断でお看取りの体制に入りました。

そんな中、何とか100歳の誕生祝をしようと、「ご家族や他の仲の良い入居者を呼んでお祝いしましょう」と励ましました。A.K様は、「100歳までに、私も体力をつけなくちゃね」と、少しずつ起きる時間を伸ばし、頑張って入浴をされたところ、次第に気力と体力を回復されて、無事に100歳の誕生日を盛大に迎えることができました。

今年の夏に体調を崩されて、またお看取りの覚悟をしましたが、再び気力で乗り切り、3食とも食堂へ来て自己摂取するまで回復されて、9月の敬老祭で101歳の誕生日をお祝いしました。表情も豊かで、ご長寿の表彰もしっかりと受けとられました。

11月に、A.K様は静かに永眠されました。数日前までお食事をとられての、大往生でした。高齢になっても、頑張ろうという力はいろいろなことを可能にするという姿をみせて頂きました。